リスク分析

最大ドローダウンとは?株価下落リスクの計算と読み方

最大ドローダウン、回復期間、Ulcer Indexを使い、株価や投資戦略の途中損失を評価する方法を数式と例で解説します。

最大ドローダウンMDD株価下落率回復期間

この分析で分かること

ドローダウンは、過去の最高値から現在値までどれだけ下落したかを測ります。最大ドローダウンは期間中で最も深い下落ですが、深さだけでなく、下落開始から回復までの長さも投資継続の難しさを左右します。

分析方法

  1. 価格または戦略の累積資産曲線を作ります。
  2. 各時点までの最高値(ハイウォーターマーク)を更新します。
  3. 現在値を最高値と比較してドローダウン系列を計算します。
  4. 最も深い谷、その開始日、底、回復日、継続期間を特定します。

数式と変数

時点tのドローダウン

DDt=VtmaxstVs1DD_t=\frac{V_t}{\max_{s\le t}V_s}-1

V_tは価格または資産価値です。最高値では0、下落中は負になります。

最大ドローダウン

MDD=mintDDtMDD=\min_t DD_t

対象期間で最も小さいドローダウン、つまり最も深い下落率です。

Ulcer Index

UI=1Nt=1NDDt2UI=\sqrt{\frac{1}{N}\sum_{t=1}^{N}DD_t^2}

下落の深さと滞在時間を同時に反映する指標です。

用語の定義

ハイウォーターマーク
その時点までに到達した最高の価格または資産価値です。
回復期間
最高値から下落し、同じ水準を回復するまでの時間です。
水中期間
資産価値が過去最高値を下回り続けている期間です。

直感的な例

100万円が120万円まで増え、その後84万円へ下落した場合、ドローダウンは84/120−1=−30%です。その後120万円を回復するまで2年かかれば、深さ30%に加えて2年の水中期間を負担します。

結果の読み方

  • 最大値だけでなく、上位複数のドローダウンと回復期間を見ます。
  • 同じMDDでも短期急落と長期低迷では、必要な忍耐と機会費用が異なります。
  • ベンチマークと同じ時期に下落したか、戦略固有の失敗かを区別します。

投資への活用

  • 耐えられる損失から、投資額やレバレッジの上限を逆算します。
  • リターンが似た戦略同士を、下落の深さと回復速度で比較します。
  • 過去最大値だけに依存せず、ストレスシナリオとテイルリスク分析を併用します。

限界と注意点

  • 観測期間に大きく依存し、過去にない危機の損失は含みません。
  • 最大値一つだけでは、下落頻度や損失分布を要約できません。
  • 将来の最大損失を予測する統計量ではなく、実現した経路の記述です。

実際の株価データで確認する

トヨタ自動車を例に、該当パネルを開きます。移動後に銘柄・期間・入力系列を変更できます。

最大ドローダウンを実データで見る

本ページは分析手法の理解を目的とした情報提供です。将来の価格や利益を保証するものではなく、 特定銘柄の売買を推奨するものではありません。