テクニカル
ADXとは?トレンドの強さを測る指標と+DI/-DIの読み方
Wilderが考案したADXの完全な計算手順、+DI/-DIの意味、25という閾値の根拠と限界、トレンドフォロー戦略への使い方を解説します。
ADXDMI+DI-DIトレンド
この分析で分かること
ADXはトレンドの「強さ」だけを測り、「向き」は測りません。上昇でも下落でも、一方向に進み続けていればADXは上がります。向きは+DIと−DIの上下関係で判断します。値幅(True Range)に対して方向性のある動き(Directional Movement)がどれだけの割合を占めるか、という比率が中身です。
分析方法
- 各日の高値・安値から、上方向の動きupMove=H_t−H_{t−1}と下方向の動きdownMove=L_{t−1}−L_tを求めます。
- 大きい方だけを採用して+DM・−DMとし、小さい方と負の値は0にします。
- True Rangeを計算し、+DM・−DM・TRをそれぞれ14日Wilder平滑化します。
- 平滑化した比率から+DI・−DIを出し、その差の相対的な大きさをDXとします。
- DXをさらに14日Wilder平滑化したものがADXです。
数式と変数
方向性の動き(+DM / −DM)
上抜け幅と下抜け幅を比べ、大きい方だけを残します。両方が同時に正になることはありません。内包バー(前日の値幅に収まる日)では両方0になります。
True Range
窓開けを含めた実質的な値幅です。前日終値からの飛びを取り込むため、単純な高安幅より大きくなることがあります。
Wilder平滑化(合計方式)
初期値は最初のn日の単純合計、以降は1/nずつ減らして当日を足します。本実装は平均ではなく合計を保持する標準的な形です(比を取るため結果は同じです)。
方向性指標とDX
DIは値幅のうち方向性のある割合です。DXは2本のDIがどれだけ離れているかを0〜100で表します。
ADX
DXをもう一段平滑化した値です。二重に平滑化するため、ADXの反応は価格から大きく遅れます。既定はn=14です。
用語の定義
- ADX
- トレンドの強さを0〜100で表す指標です。向きの情報は含みません。
- +DI / −DI
- 値幅のうち上方向・下方向の動きが占める割合です。2本の上下関係がトレンドの向きを表します。
- DX
- +DIと−DIの乖離度です。ADXはこれを平滑化したものです。
- True Range
- 窓開けを考慮した1日の実質的な値幅です。
- 内包バー
- 高値も安値も前日の範囲に収まる日です。+DM・−DMがともに0になります。
直感的な例
ADX=32、+DI=28、−DI=15という状態を考えます。ADXが25を超えているので「強いトレンド」、+DIが−DIを上回っているので「上方向」と読みます。ただしADXは2段階の平滑化を経ているため、この32という値は既に起きた動きの要約であって、これから続くという予告ではありません。ADXが高い状態からの反転はごく普通に起こります。
結果の読み方
- ADXの水準は向きを含みません。急落が続いている局面でもADXは高くなります。
- 25という閾値はWilderの経験則で、統計的に導かれたものではありません。銘柄ごとに妥当な水準は違います。
- ADXの絶対値より、上向きに転じたか下向きに転じたかの変化のほうが情報を持つとされます。
- 二重平滑化により、ADXの反応は+DI/−DIのクロスよりさらに遅れます。
- DIのクロスは頻発します。ADXが低い局面のクロスはノイズとして扱うのが通例です。
投資への活用
- トレンドフォロー戦略と逆張り戦略のどちらを適用する局面かを切り分けるフィルターにします。
- ADXが低水準から立ち上がる局面を、新しいトレンドの候補として抽出します。
- ADXの水準を条件として定義し、条件付き分析で実際に翌日以降のリターン分布が変わるかを確認します。
- ADX単独ではなく、レンジ収縮やボラティリティ期間構造と組み合わせて局面を判定します。
限界と注意点
- 高値・安値に依存するため、値幅の記録方法が変わると水準も変わります。
- 閾値20・25は慣習値で、この銘柄・この期間に最適化されたものではありません。
- 二重平滑化のため転換の検出が遅く、トレンド終盤で最大値を付けることがよくあります。
- レンジ相場ではDIのクロスが頻発し、そのまま売買すると往復のコストだけが積み上がります。
- ADXが高いことは過去の一方向性の記述であり、継続の確率を示す統計量ではありません。
実際の株価データで確認する
トヨタ自動車を例に、該当パネルを開きます。移動後に銘柄・期間・入力系列を変更できます。
ADX(トレンドの強さ)を実データで見る本ページは分析手法の理解を目的とした情報提供です。将来の価格や利益を保証するものではなく、 特定銘柄の売買を推奨するものではありません。