テクニカル

RSI・MACD・ボリンジャーバンドとは?計算式と売買シグナルの読み方

RSI(14)、MACD(12,26,9)、ボリンジャーバンド(20,2σ)の完全な計算式、%B・バンド幅・ゴールデンクロスの意味、買われすぎ/売られすぎ判定の限界を解説します。

RSIMACDボリンジャーバンドテクニカル指標ゴールデンクロス

この分析で分かること

RSI・MACD・ボリンジャーバンドは、いずれも終値を平滑化して「今の値位置が直近の履歴に対してどれだけ外れているか」を測る指標です。RSIは上昇幅と下落幅の比、MACDは長短2本の指数移動平均の差、ボリンジャーバンドは移動平均からの標準偏差距離を使います。3つとも過去の値から機械的に決まる変換であり、将来リターンの予測力は別途検証が必要です。

分析方法

  1. 終値系列を用意します。3指標とも高値・安値・出来高は使わず、終値のみから計算します。
  2. RSIは前日比の上昇幅と下落幅に分け、Wilder平滑化で14日平均を更新し、その比RSを0〜100へ写像します。
  3. MACDは終値の12日EMAから26日EMAを引き、その9日EMAをシグナル線、両者の差をヒストグラムとします。
  4. ボリンジャーバンドは20日単純移動平均と20日標準偏差を求め、平均±2σを上下バンドとします。
  5. 最新値からRSIの30/70到達、MACDのシグナル線交差、%Bのバンド外逸脱、バンド幅の収縮を判定します。

数式と変数

RSI(Wilder方式)

RSIt=1001001+RSt,RSt=UˉtDˉtRSI_t=100-\frac{100}{1+RS_t},\qquad RS_t=\frac{\bar U_t}{\bar D_t}

U_t=max(C_t−C_{t−1},0)は上昇幅、D_t=max(C_{t−1}−C_t,0)は下落幅です。Ū_t・D̄_tはそれらの平滑平均で、D̄_t=0のときはRS=100として扱います。

Wilder平滑化(期間n=14)

Uˉt=(n1)Uˉt1+Utn,Uˉn=1ni=1nUi\bar U_t=\frac{(n-1)\bar U_{t-1}+U_t}{n},\qquad \bar U_n=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}U_i

初期値は単純平均、以降は減衰係数1/nの再帰更新です。D̄_tも同じ式で更新します。平滑化定数が2/(n+1)ではなく1/nである点が通常のEMAとの違いです。

MACDとシグナル線

MACDt=EMAt(12)EMAt(26),Sigt=EMA(9)(MACD)t,Ht=MACDtSigtMACD_t=EMA^{(12)}_t-EMA^{(26)}_t,\quad Sig_t=EMA^{(9)}(MACD)_t,\quad H_t=MACD_t-Sig_t

EMA^{(n)}_t=k C_t+(1−k)EMA^{(n)}_{t−1}、k=2/(n+1)です。本実装では系列の初項をそのまま初期値とするため、先頭付近の値は不安定で、26日目より前は表示しません。

ボリンジャーバンド(n=20, k=2)

Mt=1ni=0n1Cti,σt=1ni=0n1(CtiMt)2,Ut=Mt+kσt,  Lt=MtkσtM_t=\frac{1}{n}\sum_{i=0}^{n-1}C_{t-i},\quad \sigma_t=\sqrt{\frac{1}{n}\sum_{i=0}^{n-1}(C_{t-i}-M_t)^2},\quad U_t=M_t+k\sigma_t,\; L_t=M_t-k\sigma_t

M_tは単純移動平均、σ_tは同じ窓の標準偏差です。本実装は母集団分母nを使います(不偏分散n−1ではありません)。

%Bとバンド幅

%Bt=CtLtUtLt,BWt=UtLtMt\%B_t=\frac{C_t-L_t}{U_t-L_t},\qquad BW_t=\frac{U_t-L_t}{M_t}

%Bはバンド内の相対位置で、0が下限、1が上限、範囲外は0未満・1超になります。BWは平均に対するバンドの幅で、値動きの静けさを表します。

用語の定義

買われすぎ/売られすぎ
RSIが70以上/30以下の領域を指す慣用表現です。反転の必然性を意味せず、強いトレンド下では長期間その領域に留まります。
ゴールデンクロス/デッドクロス
MACD線がシグナル線を上抜ける/下抜ける事象です。定義上、直近のモメンタム変化の後追いになります。
スクイーズ
バンド幅が縮小し、値動きが静まった状態です。方向は示さず、次の変動が大きくなりやすいという解釈のみです。
%B
終値がバンドのどの位置にあるかを0〜1で表した値です。1を超えると上限突破、0未満で下限突破を意味します。
ダイバージェンス
価格が高値を更新する一方でRSIやMACDが更新しない、といった価格と指標の食い違いです。

直感的な例

RSIが28、%Bが−0.05、MACDヒストグラムが負のまま縮小している状態を考えます。3指標はいずれも「直近の下落が履歴的に大きい」という同じ事実を別の尺度で述べているだけで、独立した3つの根拠ではありません。実際、この3つは終値の同じ下落から計算されているため強く相関します。反転を主張するには、同じ条件が過去に出たとき翌N日リターンがどうだったかを条件付き分析で数え、その平均が偶然の範囲を外れるかまで確認する必要があります。

結果の読み方

  • RSIが70以上・30以下でも、水準そのものは反転の証拠になりません。トレンドの強さと合わせて見ます。
  • MACDの交差は平滑化の副産物として遅れます。交差した時点で値動きの大半が済んでいることが珍しくありません。
  • %Bが0未満や1超になるのは統計的に稀ではありません。2σは正規分布の仮定に基づく目安ですが、株価リターンの裾は正規分布より厚いためです。
  • バンド幅の収縮は方向を示しません。上放れと下放れの両方が候補です。
  • 3指標が同時に同じ向きを示しても、根拠が3つに増えたわけではありません(すべて同じ終値系列の関数です)。

投資への活用

  • 既に売買を決めている場合の執行タイミングを比べる補助材料にします。
  • RSIやバンド位置を「状態」として定義し、条件付き分析でその状態の後の実際のリターン分布を確認します。
  • パラメータ(14・12・26・9・20・2σ)を動かして成績が急変するなら、その良さは最適化の産物と考えます。
  • 指標が示す方向ではなく、バンド幅などのボラティリティ情報を使ってポジション量を調整する方が根拠が残りやすい用途です。

限界と注意点

  • 3指標とも終値のみの関数であり、互いに強く相関します。合議に見えても実質は1つの情報源です。
  • 画面上部のBUY/SELL表示は単純な閾値判定で、コスト・スリッページ・多重検定を一切考慮していません。売買推奨ではありません。
  • パラメータは歴史的な慣習値であり、この銘柄・この期間に最適である保証はありません。
  • 広く知られた指標ほど裁定され、検出できる優位性は時間とともに減衰し得ます。
  • 有効性を主張するには、ウォークフォワード検証とコスト控除後の成績が必要です。指標の形状だけでは不足です。

実際の株価データで確認する

トヨタ自動車を例に、該当パネルを開きます。移動後に銘柄・期間・入力系列を変更できます。

テクニカル指標(RSI・MACD・BB)を実データで見る

本ページは分析手法の理解を目的とした情報提供です。将来の価格や利益を保証するものではなく、 特定銘柄の売買を推奨するものではありません。