分布・依存性

株価の自己相関(ACF・PACF)とは?予測可能性の読み方

株価リターンのACF・PACFと二乗リターンの自己相関を使い、方向の依存性とボラティリティ・クラスタリングを読む方法を解説します。

自己相関ACFPACF株価ボラティリティクラスタリング

この分析で分かること

自己相関は、現在の値と過去の値がどの程度似て動くかをラグごとに測ります。リターンの自己相関は方向の依存性、二乗リターンの自己相関は変動の大きさが固まって現れる性質を診断します。

分析方法

  1. 終値から対数リターンを計算し、平均を引きます。
  2. ラグkごとに現在のリターンとk日前のリターンの相関を計算します。
  3. PACFでは、途中のラグ1からk-1の線形な影響を取り除きます。
  4. 同じ計算を二乗リターンにも行い、ボラティリティの持続性を確認します。

数式と変数

自己相関関数

ρk=t=k+1N(rtrˉ)(rtkrˉ)t=1N(rtrˉ)2\rho_k=\frac{\sum_{t=k+1}^{N}(r_t-\bar r)(r_{t-k}-\bar r)}{\sum_{t=1}^{N}(r_t-\bar r)^2}

r_tは時点tのリターン、kはラグ、Nは観測数です。

概算95%信頼帯

ρk[1.96N,1.96N]\rho_k\in\left[-\frac{1.96}{\sqrt N},\frac{1.96}{\sqrt N}\right]

独立な系列という単純な帰無仮説の下で使う概算帯です。

用語の定義

ラグ
何日前との関係を見るかを表す遅れです。ラグ5なら5営業日前との関係です。
PACF
途中のラグの影響を除いた、特定ラグとの直接的な線形関係です。
ボラティリティ・クラスタリング
大きな変動の後に大きな変動、静かな変動の後に静かな変動が続く性質です。

直感的な例

リターンのACFがほぼ信頼帯内でも、二乗リターンのACFがラグ1から20まで正なら、方向は読みにくい一方で『荒れやすさ』は持続していると解釈できます。この場合、方向予測よりポジション量や損切り幅の調整に情報価値があるかもしれません。

結果の読み方

  • リターンACFの正値は順方向、負値は反転方向の線形依存を示します。
  • 有意な棒が少数だけなら、多数のラグを同時に見た偶然の可能性を疑います。
  • 二乗リターンACFが緩やかに減衰する場合、GARCH型の条件付き分散モデルと整合的です。

投資への活用

  • 候補となる保有期間やARモデルの次数を絞り込みます。
  • 方向予測ではなく、ボラティリティ予測とリスク量調整の根拠に使います。
  • 見つけたラグは別期間で再検証し、売買コストを含む成績で採否を決めます。

限界と注意点

  • 線形な依存しか捉えず、非線形関係は見逃します。
  • 多数のラグを見ると偽陽性が増えるため、多重検定への配慮が必要です。
  • 非定常な市場では、全期間の相関が現在の局面を表さないことがあります。

実際の株価データで確認する

トヨタ自動車を例に、該当パネルを開きます。移動後に銘柄・期間・入力系列を変更できます。

自己相関(ACF・PACF)を実データで見る

本ページは分析手法の理解を目的とした情報提供です。将来の価格や利益を保証するものではなく、 特定銘柄の売買を推奨するものではありません。