情報理論

株価のエントロピーとは?不確実性と予測可能性の測り方

Shannonエントロピーを株価リターンへ適用し、状態の不確実性やパターンの偏り、予測可能性を評価する方法を数式付きで解説します。

エントロピーShannonエントロピー株価予測可能性情報理論

この分析で分かること

情報エントロピーは、観測される状態がどれだけ均等で予測しにくいかを測ります。株価ではリターンの符号、ビン、順位パターンなどを状態として定義し、パターンの偏りを不確実性として要約します。

分析方法

  1. リターンを上昇・下落、分位ビン、順位パターンなど有限個の状態に変換します。
  2. 各状態の出現確率p_iを標本頻度から推定します。
  3. Shannonエントロピーを計算し、必要に応じて最大値log Kで正規化します。
  4. 窓を動かして計算し、市場状態による不確実性の変化を追います。

数式と変数

Shannonエントロピー

H(X)=i=1KpilogpiH(X)=-\sum_{i=1}^{K}p_i\log p_i

Kは状態数、p_iは状態iの発生確率です。0 log 0は0として扱います。

正規化エントロピー

Hnorm=H(X)logKH_{norm}=\frac{H(X)}{\log K}

0から1へ正規化し、状態数が違う設定同士を比較しやすくします。

相互情報量

I(X;Y)=x,yp(x,y)logp(x,y)p(x)p(y)I(X;Y)=\sum_{x,y}p(x,y)\log\frac{p(x,y)}{p(x)p(y)}

Xを知ることでYの不確実性がどれだけ減るかを表します。

用語の定義

状態
連続的な値動きを集計できるカテゴリへ変換したものです。定義により結果が変わります。
最大エントロピー
すべての状態が同じ確率で出る、最も不確実な状態です。
相互情報量
線形相関に限らず、2つの変数が共有する情報量を測る指標です。

直感的な例

上昇・下落の2状態が50%ずつなら正規化エントロピーは1に近く、符号だけでは予測しにくい状態です。80%対20%ならエントロピーは下がりますが、その偏りが将来も続くかは別期間で検証する必要があります。

結果の読み方

  • 高い値は状態が均等で不確実、低い値は一部状態への偏りを示します。
  • 低エントロピーは必ずしも利益機会ではなく、下落が一方向に続く危険な局面でも生じます。
  • 状態数、窓長、離散化方法を変えても結論が残るかを確認します。

投資への活用

  • 規則性が乏しい局面で無理に方向予測することを避けるフィルターにします。
  • 低エントロピー局面を検出し、トレンド・レジーム分析の対象候補にします。
  • 相互情報量で、指標が将来リターンについて追加情報を持つかの仮説を作ります。

限界と注意点

  • 離散化と窓長の選択に強く依存します。
  • 小標本では出現確率が偏り、エントロピーを過小推定しやすくなります。
  • 規則性を見つけても、向き、規模、コスト控除後収益は別途検証が必要です。

実際の株価データで確認する

トヨタ自動車を例に、該当パネルを開きます。移動後に銘柄・期間・入力系列を変更できます。

情報エントロピーを実データで見る

本ページは分析手法の理解を目的とした情報提供です。将来の価格や利益を保証するものではなく、 特定銘柄の売買を推奨するものではありません。