テクニカル
ブレイクアウト統計とは?高値更新に追随すべきか検証する
ドンチャン・チャネルと前日高安のブレイクについて、引け維持率と方向調整後の先行きリターンを集計し、順張りと逆張りのどちらが有効かを検証する方法を解説します。
ブレイクアウトドンチャンタートルズだまし高値更新
この分析で分かること
高値を更新したときに追随すべきか、だましとして逆張りすべきかを、その銘柄の過去の全ブレイクから数えて判定します。判定材料は2つ、日中に抜けた日のうち引けでも維持できた割合(引け維持率)と、ブレイク方向に符号を揃えた10営業日先のリターンです。
分析方法
- 過去20日・55日の最高値と最安値でドンチャン・チャネルを作ります。
- 当日高値がチャネル上限を超えた日を上抜け、当日安値が下限を割った日を下抜けとして数えます。
- そのうち終値でもチャネルを超えて引けた割合を引け維持率とします。
- ブレイク日の終値から10営業日後の終値までのリターンを取り、下抜けは符号を反転して「追随成功なら正」に揃えます。
- 同じ集計を前日高安の更新についても行い、短期と中期を比べます。
数式と変数
ドンチャン・チャネル
当日を含まない過去N日の高安です。20日と55日はタートルズの古典的な設定です。
ブレイクと引け維持
日中に抜けたかどうかと、引けでも保てたかどうかを分けて数えます。維持率が低いほど、その銘柄はだましが多いことになります。
方向調整した先行きリターン
ブレイク日の終値を基準に10営業日後まで測ります。正なら追随が報われた、負ならだましだったことを意味します。
用語の定義
- ドンチャン・チャネル
- 過去N日の最高値と最安値で作る帯です。ブレイクアウト戦略の古典的な基準線です。
- 引け維持率
- 日中にブレイクした日のうち、終値でもブレイク水準を保った割合です。
- だまし
- 一度ブレイクしたのに元の範囲へ戻ってしまう動きです。
- 方向調整
- 下抜けの符号を反転し、上下のブレイクを同じ尺度で集計する処理です。
- 重複窓
- 10営業日先を測る窓が互いに重なることです。観測が独立でなくなります。
直感的な例
20日ブレイクの引け維持率が72%、方向調整リターンの平均が+1.4%だったとします。順張りが有効に見えますが、この平均には検定が付いていません。10営業日先を測る窓は連日のブレイクで大きく重なるため、実質的な独立標本数は表示されている件数よりずっと少なく、単純な標準誤差は過小になります。採用の前に、エッジ節のウォークフォワードとコスト控除後の成績まで進めてください。
結果の読み方
- 引け維持率と方向調整リターンは別の情報です。維持率が高くてもその後が続かないことがあります。
- 20日と55日で挙動が違うなら、短期ブレイクと中期ブレイクは別現象として扱います。
- 件数が少ない場合、平均は数件の大きな値で決まっています。件数を必ず併記して読んでください。
- トレンド相場では順張り、レンジ相場では逆張りが有利になりやすく、集計期間の相場環境に強く依存します。
- 表の方向調整リターンは取引コスト控除前です。ブレイク戦略は往復が多いため、コスト後では符号が変わることがあります。
投資への活用
- その銘柄でブレイク順張りとフェードのどちらを検証候補にするかを決めます。
- 引け維持率が低い銘柄では、日中のブレイクで飛び乗らず引け確定を待つ規則に変えます。
- 20日と55日の差から、自分の保有期間に合うブレイク定義を選びます。
- 採用前に、同じセクションの戦略比較パネルでコストを実額控除した超過リターンを確認します。
限界と注意点
- 先行きリターンの窓が重複するため、観測は独立ではありません。単純な平均の標準誤差は過小評価になります。
- この集計に有意性検定は付いていません。平均の符号だけで採否を決めないでください。
- 日足ベースのため、日中にブレイクしてから戻るまでの経路は分かりません。
- ブレイク日の終値で建てられる前提ですが、実際には引け成行の約定価格とはずれます。
- 戦略パネルの建玉規則は「ブレイク日の引けで建て、10日保有、重複は延長」という単純化で、ストップやトレーリングを含みません。
実際の株価データで確認する
トヨタ自動車を例に、該当パネルを開きます。移動後に銘柄・期間・入力系列を変更できます。
ブレイクアウト統計を実データで見る本ページは分析手法の理解を目的とした情報提供です。将来の価格や利益を保証するものではなく、 特定銘柄の売買を推奨するものではありません。