基本分析

相対力(RSライン)とは?市場に勝っているかを測る

銘柄をベンチマークで割ったRSラインとRSモメンタム、RS新高値の意味と計算式、相対と絶対を混同しないための注意点を解説します。

相対力RSラインアウトパフォームレラティブストレングスセクターローテーション

この分析で分かること

銘柄の終値をベンチマークの終値で割った比率がRSラインです。この線が右肩上がりなら市場に勝っています。絶対リターンが同じでも、全体が上げている中での上昇か下げ相場での健闘かで意味は全く違います。相対力はその文脈を与えます。

分析方法

  1. 銘柄とベンチマークの終値を日付で突き合わせます。
  2. 各日で銘柄終値をベンチマーク終値で割り、生の比率を求めます。
  3. 初日の比率で割って100を基準に正規化し、RSラインとします。
  4. 63営業日(約3か月)前の比率との変化率をRSモメンタムとします。
  5. 生の比率が過去最高を更新した日をRS新高値として印を付けます。

数式と変数

RSライン

RSt=100×Ctstock/CtbenchC0stock/C0benchRS_t=100\times\frac{C^{stock}_t/C^{bench}_t}{C^{stock}_0/C^{bench}_0}

初日を100とした指数です。水準そのものではなく、傾きと方向が情報を持ちます。表示期間を変えると基準日が変わり、水準は変わります。

RSモメンタム

Mt=(ρtρtw1)×100,ρt=CtstockCtbench,w=63M_t=\left(\frac{\rho_t}{\rho_{t-w}}-1\right)\times 100,\qquad \rho_t=\frac{C^{stock}_t}{C^{bench}_t},\quad w=63

比率の63営業日変化率です。正なら直近3か月で市場に勝ち越し、負なら負け越しを意味します。ゼロクロスが優位の転換点になります。

RS新高値

ρt>maxs<tρs\rho_t>\max_{s<t}\rho_s

相対力が過去最高を更新した日です。価格が高値を更新する前にRSが更新すると、先行性のサインとされます。

用語の定義

RSライン
銘柄とベンチマークの比率を指数化した線です。市場に対する強さの推移を表します。
RSモメンタム
RSラインの一定期間の変化率です。優位が強まっているか弱まっているかを示します。
アウトパフォーム
ベンチマークを上回る成績です。絶対リターンがプラスであることは意味しません。
ディフェンシブ
下げ相場で相対的に下落が小さい性質です。RSが上向きでも絶対値は下がっていることがあります。
ゼロクロス
RSモメンタムが正負を跨ぐ点です。相対的な優位の転換候補として扱われます。

直感的な例

下げ相場でRSラインが上向いている銘柄を考えます。「強い」と読めますが、絶対値では下落しており含み損は増えています。相対力が答えるのは「どれを持つか」であって「持つべきか」ではありません。現金やベンチマーク自体も選択肢に含めるなら、絶対リターンの判断が別途必要です。RSは銘柄選択の道具であり、市場に乗るかどうかの判断には使えません。

結果の読み方

  • RSラインの水準は基準日に依存します。傾きだけを読んでください。
  • 相対力が強くても絶対値が下落していれば損失は出ます。相対と絶対は別の問いです。
  • RSモメンタムの窓は63営業日です。それより短い転換は検出されません。
  • RS新高値は先行性のサインとされますが、この分析に検定は含まれていません。
  • ベンチマークの選択で結論が変わります。業種が合わない指数と比べても意味を持ちません。

投資への活用

  • 同じ業種内で保有候補を絞り込む際の順位付けに使います。
  • RSモメンタムのマイナス転換を、乗り換え検討のきっかけにします。
  • 下げ相場でRSが上向く銘柄を、地合い悪化局面の候補として抽出します。
  • ベンチマーク比較パネルのβ・αと併せ、相対的な強さの理由を切り分けます。

限界と注意点

  • ベンチマーク選択バイアスがあります。比較対象を変えると結論が反転し得ます。
  • 取引時間や通貨が異なる指数と比べる場合、時差と為替の影響が混入します。
  • 相対力の強さは将来の絶対リターンを保証しません。
  • この分析に有意性検定はありません。RS新高値の先行性は仮説であり、検証結果ではありません。
  • 配当を含まない価格指数と比較する場合、長期では配当分だけ銘柄側が有利に見えます。

実際の株価データで確認する

トヨタ自動車を例に、該当パネルを開きます。移動後に銘柄・期間・入力系列を変更できます。

相対力・RSモメンタムを実データで見る

本ページは分析手法の理解を目的とした情報提供です。将来の価格や利益を保証するものではなく、 特定銘柄の売買を推奨するものではありません。