OHLC分析

ローソク足の構造分析とは?実体率・ヒゲ率・終値位置の読み方

実体率、上ヒゲ率、下ヒゲ率、終値位置という4つの比率で1本のローソク足を数値化し、日々の売り買いの力関係を時系列で追う方法を解説します。

ローソク足実体率ヒゲ終値位置大陽線

この分析で分かること

1本のローソク足を、その日の値幅(高値−安値)で割った比率に分解します。どれだけ方向性があったか(実体率)、どこで押し返されたか(ヒゲ率)、最後にどの位置で引けたか(終値位置)を数値にすることで、目視の印象ではなく時系列として売り買いの力関係を追えます。

分析方法

  1. 各営業日の値幅 R = 高値 − 安値 を求めます。
  2. 実体(|終値 − 始値|)を R で割り、実体率とします。
  3. 実体の上側・下側に残った部分を R で割り、上ヒゲ率・下ヒゲ率とします。
  4. 終値が安値からどれだけ上にあるかを R で割り、終値位置(0〜1)とします。
  5. 実体率70%超を大陽線・大陰線、10%未満を十字線として件数を数え、終値位置の20日移動平均で圧力の偏りを追います。

数式と変数

実体率

Bt=CtOtHtLtB_t=\frac{|C_t-O_t|}{H_t-L_t}

0から1の値です。1に近いほど始値から終値まで一方向に動き、0に近いほど行って来いだったことを意味します。

上ヒゲ率・下ヒゲ率

Ut=Htmax(Ot,Ct)HtLt,Dt=min(Ot,Ct)LtHtLtU_t=\frac{H_t-\max(O_t,C_t)}{H_t-L_t},\qquad D_t=\frac{\min(O_t,C_t)-L_t}{H_t-L_t}

上ヒゲは上値を試して押し返された分、下ヒゲは下値を試して買い戻された分です。

3比率の分解関係

Bt+Ut+Dt=1B_t+U_t+D_t=1

3つは値幅を分け合う構成比であり、独立ではありません。実体率が上がれば必ずどちらかのヒゲ率が下がります。

終値位置

Pt=CtLtHtLtP_t=\frac{C_t-L_t}{H_t-L_t}

1に近いほど高値引け、0に近いほど安値引けです。値幅が0の日(ストップ配分などで動かなかった日)は0.5として扱います。

用語の定義

実体
始値と終値に挟まれた部分です。その日の正味の値動きを表します。
ヒゲ
実体の外側に伸びた部分です。試したが維持できなかった価格帯を示します。
大陽線・大陰線
実体率が70%を超える足です。方向性が明確だった日を指します。
十字線(ドジ)
実体率が10%未満の足です。始値と終値がほぼ同じで、売り買いが拮抗した日です。
高値引け・安値引け
終値位置が1または0に近い状態です。引けにかけての需給の偏りを示します。

直感的な例

終値位置の20日移動平均が0.68という状態を考えます。「この20日間、平均してその日の値幅の上位3分の1で引けている」という意味で、引けにかけて買いが優勢だったと読めます。ただしこれは値幅に対する相対位置なので、値幅そのものが縮んでいれば実際の値上がりは小さいままです。終値位置は方向の質を表す指標であって、値上がり幅の指標ではありません。

結果の読み方

  • 3つの比率は合計1の構成比です。3つが同時に強気を示す、という読み方はできません。
  • 実体率は値幅で正規化されているため、値幅そのものが小さい日は小さな動きでも高い実体率になります。
  • 長い下ヒゲは買い支えと解釈されますが、単に日中に急落して戻しただけの日も同じ形になります。
  • 終値位置の移動平均は、日々のノイズを均して引けの需給の傾きを見るための系列です。単日の値は解釈しないでください。
  • 70%・10%・ヒゲ2倍という閾値はいずれも慣習値で、この銘柄の分布から定めたものではありません。

投資への活用

  • 終値位置の移動平均を、トレンドの質(引けで買われているか)の補助指標にします。
  • 大陽線・大陰線の出現頻度から、その銘柄が一方向に動きやすいかどうかを把握します。
  • 十字線の増加を、方向感の喪失としてレンジ戦略への切り替え候補にします。
  • 形状を条件として定義し、パターン認識パネルで実際の先行きリターンを検定します。

限界と注意点

  • 始値・高値・安値は取引所や配信元の記録方法に依存し、修正のかかり方も終値と異なる場合があります。
  • 値幅が0の日は全比率が定義できず、既定値で埋めています。その日の値に意味はありません。
  • この分析は形状の記述にとどまり、先行きリターンの検定は含みません。
  • ヒゲの解釈(買い支え・売り圧力)は慣習的な物語であり、データが示している事実ではありません。
  • 日足のため、日中どの時間帯にその高安を付けたかは分かりません。

実際の株価データで確認する

トヨタ自動車を例に、該当パネルを開きます。移動後に銘柄・期間・入力系列を変更できます。

ローソク足構造分析を実データで見る

本ページは分析手法の理解を目的とした情報提供です。将来の価格や利益を保証するものではなく、 特定銘柄の売買を推奨するものではありません。