基本分析

出来高分析とは?出来高急増・ダイバージェンスの読み方

出来高の20日移動平均に対する倍率で急増を検出し、上昇・下落との組み合わせ、価格と出来高のダイバージェンスを読む方法と、その統計的な限界を解説します。

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この分析で分かること

出来高は、その値動きに何人が関与したかを表します。価格が「何が起きたか」なら、出来高は「どれだけの合意があったか」です。この分析では出来高を20日移動平均で割った倍率に直し、普段と比べて異常かどうかを判定します。

分析方法

  1. 各営業日の出来高を取り出します。
  2. その日を含む直近20営業日の平均出来高を求めます。
  3. 当日出来高を平均で割り、倍率(レシオ)にします。
  4. 倍率が2.0以上の日を出来高急増として抽出します。
  5. ローソク足の実体方向(終値−始値)で上昇・下落・横ばいに色分けし、値動きとの組み合わせを見ます。

数式と変数

出来高移動平均

Vt=1ki=0k1Vti,k=20\overline{V}_t=\frac{1}{k}\sum_{i=0}^{k-1}V_{t-i},\qquad k=20

V_tは当日出来高です。本実装の窓は当日を含みます。系列の先頭19日は窓が20日に満たないため、その範囲の平均は短い窓で計算されます。

出来高倍率

Rt=VtVtR_t=\frac{V_t}{\overline{V}_t}

普段の何倍かを表します。分母に当日が含まれるため、急増日ほど分母も膨らみ、倍率はやや小さく出ます(20日窓では最大でも約20倍が上限になります)。

急増の判定

Rtθ,θ=2.0R_t\ge \theta,\qquad \theta=2.0

既定の閾値は2.0倍です。3倍以上は異常値、5倍以上は重大イベントの目安として扱われます。

バーの色(実体方向)

typet=sign(CtOt)\mathrm{type}_t=\mathrm{sign}(C_t-O_t)

色分けは当日の始値と終値の関係で決まります。前日終値との比較(C_t−C_{t−1})とは別物なので、窓を開けて下げた陽線は「上昇」として色づきます。

用語の定義

出来高
一定期間に成立した売買の株数です。売り手と買い手の両方を1回として数えます。
出来高急増
普段の水準を大きく超えた出来高です。ここでは20日平均の2倍以上を指します。
セリングクライマックス
下落の最終局面で売りが一気に出尽くす現象です。大商いを伴う急落として現れることがあります。
ダイバージェンス
価格は上昇しているのに出来高が減るなど、価格と出来高の方向が食い違う状態です。
薄商い
出来高が細り、少ない注文で価格が動きやすくなっている状態です。

直感的な例

株価が前日比+4%、出来高が20日平均の3.2倍という日を考えます。「大口が買った」と読みたくなりますが、出来高は売買の成立数であり、買い手と売り手は必ず同数です。分かるのは「その価格帯で多くの持ち手が入れ替わった」ことだけで、買い越し・売り越しの方向は出来高からは分かりません。方向を伴う需給を見たいなら、符号付き出来高やOBVなど別の指標が必要です。

結果の読み方

  • 倍率は普段との比であり、絶対的な流動性ではありません。もともと薄い銘柄では小さな注文でも高倍率になります。
  • 上昇+急増はブレイクアウト、下落+急増はパニック売りまたは底打ちと解釈されますが、事後に振り分けられるだけで事前には区別できません。
  • 出来高が細り続けた後の急増は、新しい局面の始まりであることが比較的多いとされます。
  • 決算日、指数入替、権利落ちなど日程要因による急増を、需給の変化と取り違えないでください。
  • 色は実体方向(終値−始値)です。前日比の上下とは一致しないことがあります。

投資への活用

  • ブレイクアウトの信頼性を測る補助にします。出来高を伴わない高値更新は続きにくいとされます。
  • 薄商いの局面ではスリッページが拡大するため、執行サイズを落とす判断材料にします。
  • 急増日を条件として定義し、条件付き分析でその翌日以降のリターン分布を実際に数えます。
  • 出来高が細っている銘柄を、そもそも売買対象から外すフィルターに使います。

限界と注意点

  • 出来高に方向はありません。「大口の買い」と読めるのは解釈であって、データが示している事実ではありません。
  • 移動平均の窓に当日が含まれるため、倍率は真の異常度よりやや小さく出ます。
  • 系列の先頭19日は窓が短く、平均と倍率が不安定です。
  • 分割・併合や上場市場の変更で出来高の水準そのものが不連続に変わることがあります。
  • 急増の閾値2倍は慣習値であり、この銘柄にとっての異常水準を統計的に定めたものではありません。

実際の株価データで確認する

トヨタ自動車を例に、該当パネルを開きます。移動後に銘柄・期間・入力系列を変更できます。

出来高分析を実データで見る

本ページは分析手法の理解を目的とした情報提供です。将来の価格や利益を保証するものではなく、 特定銘柄の売買を推奨するものではありません。